日本の待機児童問題②~問題が解決されない理由~

育児育児と仕事の両立

こんにちは!
Ippolab広報の圭です。

前回に引き続き、日本の待機児童問題について考えていきたいと思います。
第2回目となる今回は、待機児童問題がいつまで経っても解決されない理由について、僕なりの見解を述べさせて頂きます。

結論から述べると、「政治家たちは日本の待機児童問題を本気で解決しようと思っていない。なぜなら、待機児童問題の解決は、政治家にとって大切な票につながらないから」ということが原因であると、考えています。

以下で、詳しくご説明をさせて頂きます。

※今後の予定
3回目:現実的な解決策の提案

前回の記事はこちら
『日本の待機児童問題①~現状把握~』
http://ippolab.co.jp/nihon-taikijido-1/

一般論の整理:待機児童問題の原因として指摘されている事項の確認

本題に入る前に、まず一般論を確認してみましょう。
待機児童問題の原因として頻繁に取り上げられるのは、以下の二点です。

・保育士不足
・高コストで増設が難しい認可保育所

保育士不足については、「労働時間が長い上にお給料が低い」という問題点が主に指摘されており、高コストで増設が難しい認可保育所というのは、「国の認可基準が厳しすぎる(例えば、”屋外遊技場は2歳児以上1人あたり3.3m2以上(保育所外の公園等を含む)”とあるが、只でさえ土地の少ない都内にこれだけの野外遊技場を併設するのは困難である)」という問題点が主に指摘されています。

上記の指摘には異論、ありません。
異論はないのですが、新たな疑問が湧きます。

それは、「なぜ原因が分かっているのに、保育士の方のお給料を上げたり、規制を緩めたりという、抜本的な改革がいつまで経っても行われないのか?」という点です。

例えば、コロナウイルス対策としての特定定額給付金(国民一人一人に10万円を配布)や持続化給付金(営業自粛等で大きな影響を受けた中小企業や個人事業主等への給付金)の再委託問題など、税金の無駄遣い(とも取れる問題)がある一方で、全国の保育士の方への給与保証(※現在は東京都のみ実施中)や認可基準の緩和(※小規模保育園導入などの段階的緩和ではなく、抜本的な緩和)及び認可保育園への補助金の増加は一向に行われておりません。

僕は、これには政治家たちの意向が大きく関わっていると考えています。
次章で、詳しく見てみましょう。

なお、「保育士不足」・「高コストで増設が難しい認可保育所」という論点をより詳しく知りたい方は、本記事最下部の参考文献『保育園義務教育化』か、大和総研の以下のレポートをご一読下さい。

経済構造分析レポート – No.46 –
『待機児童問題が解消しない理由 海外との比較で見る日本の保育政策の課題』
https://www.dir.co.jp/report/research/policy-analysis/social-securities/20160708_011056.pdf
著:経済調査部研究員 石橋 未来

なぜ待機児童問題は政治家にとって票にならないのか?

待機児童問題は、0~5才の乳幼児を育てている方々(主に女性)が抱える問題となります。
厚生労働省が発表している平成28年度の人口動態統計によると、第一子の平均出産年齢は30.7才でした。

あくまで平均なのでばらつきはありますが、待機児童問題に直面しているのは20~30代の若者が主であると考えられます。
つまり、待機児童問題は主として20~30代の方々の問題である可能性が極めて高いということです。

2019年12月1日現在(確定値)の総務省の統計によると、日本の総人口の1億2,614万4,000人の内、65歳以上のお年寄りが占める割合は28.5%(3,592万4,000人)である一方、20~30代の若者が占める割合は21.3%(2,690万6,000人)でした。

2020年5月1日発表 総務省 人口推計値
https://www.stat.go.jp/data/jinsui/pdf/202005.pdf

次に、上記年齢の衆議院選挙の投票率を見てみましょう。
平成29年に行われた第48回衆議院選挙の投票率は、65以上の高齢者は平均66.16%であった一方、20~30代の投票率は39.22%でした。

第31回~第48回衆議院議員総選挙年齢別投票率調
https://www.soumu.go.jp/main_content/000255968.pdf

比較している数値の年が異なるため正確な数値ではありませんが、分かりやすくするために2019年12月1日の人口推計値に当てはめて敢えて計算をすると、65才以上の高齢者の投票者数は約2,376万7,318人であったことに対して、20~30代の若者の投票者数は1,055万2,533人でした。

つまり、政治家は若者の向けの選挙公約を掲げたり政策を実施するより、65才以上の高齢者に受ける選挙公約を掲げたり政策を実施する方が、当選確率は高まるということになります。

政治家というのは、本来は「どの年齢層に関係なく、もっとも対処する必要がある問題」に取り組むべきです。
ですが、政治家というのも職業ですから、当選しなければお給料が入ってこなくなってしまいます。
そのため、「政治家は、どうしても当選に直接つながる高齢者ウケする課題ばかりを優先してしまい、あまり当選につながらない若者の課題は後回しにしてしまう」というのが僕の考えです。

参考文献である『保育園義務教育化』においても、とある政治家の「待機児童問題は選挙の票につながらない」という発言が出てきます。

では、どうすればこの問題を解決出来るのか?
最終回にて、僕が考える解決策について、お話しできればと思います。

皆さん、またお会いしましょう!

Ippolab広報


参考文献
『保育園義務教育化』
著者:古市憲寿
出版者:小学館
出版日:2015年7月6日
URL:https://www.amazon.co.jp/dp/B010PUOV1I/ref=dp-kindle-redirect?_encoding=UTF8&btkr=1