日本の待機児童問題①~現状把握~

育児育児と仕事の両立

こんにちは!
Ippolab広報の圭です。

個人的に著しい問題だと感じているのが、タイトルにある待機児童問題です。
本問題は、現在まさに子育てをされていらっしゃる、あるいはこれから子育てをすることになる全てのご家庭に関係する問題であり、僕は離婚こそしていますが、元奥さんが働きながら息子を育ててくれているので、当事者の立場にあります。

今から述べることは、Ippolab広報という立場ではなく、あくまで個人的な考えて捉えて頂きたいのですが、僕は「政治家たちは日本の待機児童問題を本気で解決しようと思っていない」と考えています。

何故そう言えるのか?
それは、「待機児童問題の解決は政治家にとって大切な選挙の票につながらないから」というのが僕の見解です。

僕がそのように考える理由については、次回ご説明をさせて頂きます。
最初の連載となる今回は、一緒に待機児童の問題点と現在の待機児童数を確認してみましょう。

※今後の予定
1回目:現在の待機児童数の把握
2回目:待機児童問題が解決されない理由
3回目:現実的な解決策の提案

何故待機児童が問題なのか?

そもそも、なぜ待機児童が問題なのか?
出生率の低下及び低下がもたらす様々な問題は、色々な本や記事で紹介されているのでそちらに譲るとして、僕は「自分のやりたいことを出来ない人々(主に女性)が生まれてしまう」ということが、一番大きな問題だと思います。

出産は女性にしかできない、とても神秘的で尊い行為です。
そのため就業中の女性は、出産を迎える際は、退職か産休等の休職を問わず、必ず職場を離れなければなりません。

産休取得の女性であれば、出産後、そのまま育休に入り、退職された女性は、高確率でそのまま育児に専念することになると思います。

そして、そろそろ職場に復帰したい・仕事をしたいと思ったとき、あるいは、少し育児に疲れてしまって、一時的に子供を預けて自由な時間を取り戻したいと思った時に、肝心の子供を預ける場所が見つからなければ、女性たちは身動きを取ることができず、自分のやりたいことができなくなってしまうのです。

僕は、今までフランスに留学をしたり、大学院に進学したり、フランス語を使える仕事に転職をしたりと、自分のやりたいことをやり続ける人生を歩んできました。
※勿論、相応の我慢もしていますが、「自分で我慢する」と決めたことが大半です。

今の仕事も、大変なことも多いですが、自分のやりたいことなので、毎日が本当に楽しくて、充実しています。

それが仮に、「子供を預けることが出来ない」という外的な要因で、自分のやりたいことが出来なくなってしまったら…。
考えただけでも恐ろしいです。

「子供が出来た」ということは、育児をする義務が生じますから、義務は果たすべきです。
しかし、その義務は男性と女性の、双方に生じる義務です。

男性は「生活費を稼がないと行けないから」という大義名分をかざして、仕事を通じて自己実現を続けることが多い一方で、女性は「子供を預けることができないという理由で、育児という義務を半ば強制的に背負わされ続け、自己実現をすることが出来ない」というケースに陥ってしまうことが多いです。
これは、不公平以外の何物でもありません。

日本国憲法第13条に明記されている幸福追求権は、男女平等持ち合わせた権利です。
そのためにも、待機児童問題は一刻も早く解決しなければならない問題であると考えています。

2018年4月時点の待機児童数は全国で7万1,000人(隠れ待機児童含む)

朝日新聞DIGITALの『待機児童問題「見える化」プロジェクト』によると、2018年4月時点の待機児童数は隠れ待機児童を含み、全国で7万1,000人にのぼりました。

『待機児童問題「見える化」プロジェクト』
http://www.asahi.com/special/taikijido/

理由は後述しますが、待機児童問題を考える上ためには、隠れ待機児童数をカウントすることでより実態に近づいたものになると僕は考えています。
念のため両者の言葉の定義を整理すると、以下のようになります。

待機児童
保育所の入所申請がなされており、入所条件を満たしているにもかかわらず、入所出来ない状態にある児童のこと

隠れ待機児童
・認可外保育施設に通いながら、認可保育施設の入所を待っている状態にある児童のこと。

2001年までは、「認可保育施設に入所申請をしたが、入所できなかった児童」を待機児童と呼んでいました。
つまり、現在の定義の待機児童隠れ待機児童を合わせた人数が待機児童であるとされていたのです。

しかしながら、2001年に国は待機児童の定義を上記のように変更し、「認可外保育施設を利用しながら、認可施設の入所を待つ児童は、待機児童から除いてよい」としました。
この定義変更により、2001年の待機児童数は35,144人から21,201人へと大幅に減少。
つまり、「現在は認可外施設を利用してはいるが、将来的には認可施設に通いたい」と思っている14,243人の児童は、国が対応しなければならない児童とは見なされなくなってしまいました。

ですが、「認可施設に通いたい」と思っている人たちが存在する以上、本来であれば「認可施設に通いたいと思う全員に対して、どのように認可施設の供給を増やすか」という視点で問題を考えなければ、根本的な解決は図れません。
そのため、待機児童問題は「隠れ待機児童も含めて検討する必要がある」という主張が生まれました。
僕は上記の考え方に賛成のため、「隠れ待機児童も含めた待機児童数」を待機児童問題を考える上でのベースとさせて頂きました。

認可施設と認可外施設の違い

僕が考える認可施設と認可外施設の一番の違いは保育料です。
認可施設は、国が定めた設置基準(施設の広さ、保育士等の職員数、給食設備、防災管理、衛生管理等)をすべてクリアしている、都道府県知事に認可された施設になります。
運営費は国や自治体から補助金が交付されるため、認可外保育園に比べると保育料は安くなります。

認可外保育園は、施設の広さ、保育士等の職員数などの国の基準を満たしていない(=認可を受けていない)保育園になります。
運営費の補助金がないため、認可外施設は独立採算を目指さなければならず、費用が認可施設と比べてかなり高くなります。

例えば、子供を認可外施設に通わせながら夫婦共働きをしているけれども、旦那さんあるいは奥さんのお給料(額面)の1/3くらいが毎月認可外保育施設の費用に飛んでしまい、生活が苦しいという問題が発生することも否定できません。
※費用は各施設によって異なるため、必ずしも上記のような問題が発生するとは限りません。

そのため、「仕事にどうしても復帰をしたかったから、認可外保育施設に子供を預けているけど、認可施設に通わせて、一刻も早く出費を抑えたい」という家庭は多く存在します。
隠れ待機児童を無視することは、このような苦しい状況にある家庭の方々を無視することにつながってしまるので、数として含める必要があると考えています。


連載1回目は以上となります。
待機児童問題について、問題点を整理したり、考えるきっかけになりましたら、幸いです。

皆さん、またお会いしましょう!

Ippolab広報


参考文献
『保育園義務教育化』
著者:古市憲寿
出版者:小学館
出版日:2015年7月6日
URL:https://www.amazon.co.jp/dp/B010PUOV1I/ref=dp-kindle-redirect?_encoding=UTF8&btkr=1