「手は第二の脳」?手を使うことの大切さを知ろう
こんにちは、代表の田中です。
先日大阪出張をしたときに、梅田にある玩具屋さんで面白そうな玩具を見つけました。正方形や三角形の形をしたピースに磁石が入っていて、自由にくっつけていろんな形が作れるというものです。
実際に子どもがどう遊ぶかみてみたいと思い、甥っ子のプレゼントとして買って帰ったところ、想像以上にはまってくれてなんと布団の中まで持っていって遊びながら寝てくれたそうです(笑)。
手先を使って遊ぶ玩具はいろいろありますが、手先で遊ぶことは脳を鍛えることにもつながると言います。
それは一体どういう理由からなのでしょうか。今回はこの辺りを少し深堀りしていきたいと思います。
手を使わなくなっていった現代人
仕事や子育てなど、日々慌ただしく過ごしている方は多いと思います。その分、賢い家電が登場して生活はとても便利になりました。
また、外遊びが主流だった一昔前とは違い、子どもたちの遊び時間はゲームやスマホに移っていきました。
こんな例え話があります。
テレビ、パソコン、スマートフォンが普及した現代においては、接する情報が多すぎて、頭の中は「情報のゴミ屋敷」になっているそうです。
また、「現代人が一日に触れる情報量は、江戸時代の人の一年分にもあたり、平安時代の人の一生分にあたる」そうです。
面白い例えですが、いかに情報化された社会に変わっていったのかが分かりますね。
便利な社会は生活しやすいですが、一方で「手足の機能低下」「五感の鈍化」を唱える人たちも出てきました。
特に、手先をしっかり使うことは脳の発達にも大切で、これは子どもにも大人にも、お年寄りにも大切だと言います。
手は見える脳
神経生理学の視点から見ると、手を使う機会が減ることは実に重大なことのようです。
手を動かしているのは「脳」であり、毎日の生活の中で手を使うことが少なくなれば、それだけ脳を使う機会も減っていくからです。
手は「見える脳」。
例えば、物の形を認識するためには、目で見るだけではなく、手で触って形状を感じます。
また、手で持ってみて、重たい軽い、固い柔らかいを判別します。
つまり、手は脳と繋がっていて、手には「センサー」が備わっているのですね。
このあたりの特徴をまとめると、手には次の3つの機能がありそうです。
- 物の操作 ・加工
- 情報の表現と伝達
- 情報の検出・センシング
脳科学者で有名な茂木健一郎さんも、物学研究会レポートの中でこのように発言されています。
よく「手業が大事だ、まず手を動かすことだ!」と言いますが、手を動かすことの意味をどう考えるかが重要です。
手はある意味で私たちの脳内にある概念と現実世界とをつなぐメディアです。人類が残したありとあらゆる文明の産物は、全て手の動きから生まれています。要するに「手」は人間の概念的世界、表象的世界とモノを結ぶチャンネルです。
・・・ということは、手の作用は人間が世界をどう捉え、考え、感じているかを反映しており、そこには私たちの世界観や知性が問われています。
「手と脳」2007年度第1回物学研究会レポート
手は脳内と現実世界をつなぐメディアという表現はとても面白いですが、手はそれくらい重要な役割を担う部分ということが言えそうです。
子どもの時こそ手を動かす遊びをしよう
実は日本で昔から伝わる遊びには、手先を使うものが多くありました。
竹とんぼ、こま回し、あや取りなどはその代表です。
ただ、多くの情報に接している現代の子どもたちは、他にも楽しい玩具があることを知っています。
ですので、せめて市販で購入出来るものの中でも、手先を使う動きが取り入れられているものを子どもに与えてみてはどうでしょうか。
クリスマスのプレゼントをこれから選ばれるときには、「手先を使う遊びが入っているか」を選ぶ基準にされてみても良いかもしれませんね。
合わせて読みたい
参考
「モンテッソーリ教育で、子育ての予習」(オリックス生命)
2007年度第1回物学研究会レポート「脳と手」 (茂木健一郎氏)
手の働きと手による理解(鈴木良次氏)
『スーパーアドバイザーになるためのおもちゃコンサルタント入門1』
編著:多田千尋
出版社:黎明書房
出版日:2011年4月15日
イッポラボ合同会社代表、おもちゃコンサルタント。大阪教育大学卒業時に、一種免許状(高等学校教諭、英語とフランス語)を取得。東京外国語大学大学院では国際協力分野を専攻し、途上国の教育について研究。
趣味はラジオを聞くこと、登山、海外旅行。2021年からは地元鳥取と大阪の2拠点生活にチャレンジ。