「非認知能力」~我が子の教育を考える~

子供の発達・発育育児

こんにちは!
Ippolab広報の圭です。

今回のテーマは「非認知能力」です。
乳幼児教育においては注目されている能力なので、ご存知である方や聞いたことがある方もいらっしゃるかもしれませんね。

実はIppolabブログ上でも、下記の記事でほんの少しだけ触れたことがあります。

「非認知能力」は「生きる力」とも言われていて、この能力が高い子ども達は、総じて成人後の学歴と年収が高く、一方で犯罪率はとても低いという研究結果が発表されています。

「本当にそうなの?」と、なんだか疑ってしまいたくもなるこの能力。
具体的な定義と育まれる環境について、一緒に見ていきましょう。

1. 「非認知能力」とは

「非認知能力」とは、社会性がある、意欲的である、忍耐力がある、すぐに立ち直る力があるなど、広い意味で生きていくために必要な能力のことを指します。

一方、この「非認知能力」に対するものが「認知能力」です。これは読み書きができる、計算ができるなど、いわゆるIQや学力と考えられています。

「非認知能力」を育むことは幼児教育の主流となりつつあり、日本は2017年3月の改訂学習指導要領に「非認知能力」に関する事項を追加。これを受けて、保育所保育指針・幼稚園教育要領も改定されています。

2. 「人生の成功」と「非認知能力」の関係

人生の成功と「非認知能力」には相関関係があります。この主張の根拠となっているのが、アメリカで1960年代に行われた「ペリー幼稚園プログラム」という有名な実験です。

このプログラムでは、貧しい地区に生まれたアフリカ系住民の3歳から4歳の子どもたちに、質の高い就学前教育を実施しました。子ども6人を1人の先生が担当し、その先生も修士号以上の学位を持っている人に限定。読み書きや歌のレッスンを週に5日、2年間続けました。さらに、毎週90分の家庭訪問を実施し、親にも積極的に回収したそうです。

その後、素晴らしい幼稚園に通うことが出来た58人の子どもと、入園を許可されなかった65人の子ども達を比較し、約40年に亘って追跡調査をしました。すると、素晴らしい幼稚園に通った58人の子ども達は、19歳の時点で高校の卒業率が高く、27歳の時点で持ち家率が高く、40歳の時点で高所得かつ逮捕率が低いという結果が出たのです。

彼らの「人生の成功」には、「非認知能力」が大きく寄与したと言われています。

3. 人との関わりの中で育まれる「非認知能力」

『「非認知能力」を高めることが「人生の成功」において非常に重要である』ということを学問的に証明したのが、2000年にノーベル経済学賞を受賞したシカゴ大学のジェームズ・ヘックマン教授です。

教授は、『「非認知能力」の多くは他人から学ぶものである』と主張し、学校の重要性を説いています。子どもたちは先生や同級生との交流の中で「非認知能力」を身につけ、それが彼らの「人生の成功」につながっていくというのです。では、その学校とは小学校なのか、中学校なのか、あるいは高校なのか…。

実は全て不正解です。教授が最も重要視するのは、「就学前教育」。つまり、「幼稚園や保育園」のことです。就学前から、集団の中での立ち振る舞い方や感情の制御を学び、勉強をする習慣や長期的計画を実行できる力を身につけることが、大学進学率や年収、健康、犯罪率に大きく関係すると述べています。
※詳しく知りたい方は、以下の教授との対談記事をご覧下さい。

5歳までのしつけや環境が、人生を決める~ノーベル賞経済学者、ジェームズ・ヘックマン教授に聞く
https://business.nikkei.com/atcl/seminar/19/00059/080200141/
2019年8月9日 日経ビジネス 広野彩子

終わりに

「非認知能力」が子どもの人生の成功に大きく関係するということ。そして、「非認知能力」の多くは他人から学ぶものであり、就学前から学び始めることが大切であるということを見てきました。実験結果としても証明されていることなので、この能力は我が子の「人生の成功」において重要な要素であるとは思います。

ですが、「非認知能力」にとらわれ過ぎるあまり、嫌がる子どもを無理矢理に保育園に行かせたり、子どもの興味とは異なることを強制してしまっては、本末転倒かもしれません。嫌なことを強制された結果、子どもが自分の殻に閉じこもってしまったり、返って勉強への意欲が削がれてしまったら大変です。

「非認知能力」はとても大切な要素ではありますが、最も重要なことは、我が子の興味に寄り添い、子どもの「楽しい!」と思う気持ちを大切にしながら、好きなこと・得意なことを伸ばしていってあげることだと、僕は思います。

それでは皆さん、またお会いしましょう。

Ippolab広報

参考文献
『保育園義務教育化』
著者:古市憲寿
出版者:小学館
出版日:2015年7月6日
URL:https://www.amazon.co.jp/dp/B010PUOV1I/ref=dp-kindle-redirect?_encoding=UTF8&btkr=1